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目からウロコの用語解説/terms

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サイト内で当たり前に使ってしまっている何気ない経営用語、何気ない言葉があります。 私の理解と、ページを閲覧してもらう来訪者の理解に大きなズレがあっては、お伝えしようとすることが伝わりません。 そこでこれらに対する私なりの理解、解釈をまとめてみました。 またサイト内に登場はしませんが、「トヨタの企業文化」を象徴する8つの重要フレーズについても取り上げてあります。

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用語 意味
あ行 当たり前のことを当たり前に 学生時代の友人二人(トヨタマン)の口からもよく聞く。 “当たり前”のこととは学生までの人生で理解してきた“正しい常識観”のことだ。 そこには“大人の事情”や“組織の論理”は当然含まれない。トヨタはこのようなおかしな事情がまかり通ることの極めて少ない組織なのだろう。 だから新人は“大人の事情”や“組織の論理”でダメにされず、ここでは“正しい常識観”を実践すればいいことを肌身で感じて知る。 トヨタの思考行動様式に従うことは“正しい常識観”にも従えることを知り、組織人として誇りが持てるようになる。 この基本的なモラール保持があってはじめて、自律的にカイゼンを続けていけるのだ。
後工程はお客様 3つの機能を持ちえる組織コントロールスローガン。
  1. 顧客と直接関与しない人に、次の工程を代理顧客と位置づけることで顧客志向を喚起し、
  2. 自分の仕事を100%の品質で遂げるよう喚起、啓蒙する。また
  3. 分業では避けがたい対立に対し、工程間に優劣関係を予め持たせることで対立発生を抑制する。
また「品質の作りこみ」や「流れ」とも大いにかかわっている。
A3一枚に 問題解決にも起承転結=ストーリーがある。この問題解決ストーリーを、“一覧できる形”で“表現し切る”書類作りの約束事。トヨタの新人はこれを1、2年かけて徹底的に仕込まれる。 トヨタ一次下請群には浸透し切り、二次下請群にも広く普及している。
肝は“一覧できる形”で“表現し切る”こと。問題解決の主体者が問題解決の論理性を失わないよう機能する。 紙を隔てて話しが続くと途中で論理がズレたりする温床になる。また仮に論理がズレても“一覧できる”ため、管理者など他者がそれを気づきやすい。 「目で見る管理」にも必要なスペックなのである。
か行 カイゼン 当サイトでは「改善」と意識的に使い分けている。
カイゼンとは、
  1. トヨタのDNAの核とも言える“どこまでも良くしていこうとする精神”のこと。
  2. その下での具体的な改善活動のこと。
  3. 世界のものづくり企業が1、2を導入していく中で、それに過不足なく合致する自国語がないため世界語化したもの。
日常生活では改善などいかめしい言葉はあまり使わない。 しかし私の経験でも、カイゼンは当たり前の言葉として社内で流通していた。 言葉は人の思考、行動を規定する。カイゼン文化を育んでいくためには、この言葉を社内で当たり前に流通させることが必要条件である。
ガバナンス ガバナンスは“統治”の意。企業経営の文脈では“企業統治”。 仕組みとして会社に自己補正機能、監視機能、自浄作用などを持たせ、株主、顧客、従業員、取引先、銀行といった諸関係者にとって、その会社を望ましい経営体としていこうと図ること。
反例を挙げて説明すると、オーナー企業のいわゆるワンマンな経営は、決してガバナンスの効いた経営とは言えない、ということである。
カベ、ミゾ、ズレ 割り切って言えば、組織には必ず生じるものでなくなりはしない。
問題はその程度や生成過程。
  1. 犬猿の仲のように互いにソッポを向いている“あからさまなもの”
  2. 面従腹背のように信頼関係のないところから生まれるもの
  3. 相手の立場を理解できずに生じるもの
  4. 互いに分かり合っているつもりで実はそうでないもの
  5. 世代や経験の違いからそもそも一定に生じるもの
などさまざま。
流れ」を阻害する大きな要因。2や4に気づかずにいるとそれが何かとネックとなりやすい。
キャッシュフロー経営 売上高や利益の増減でなく、現・預金の増減に経営管理視点の重きを置く経営姿勢や方法。 現・預金の増減を捕捉していくには、厳密には“キャッシュフロー計算書”を作成する。 だがそんな厳密性は必要ない。意味を理解して、税引き前当期利益、減価償却費などのキー項目でザックリつかんでいけば、それが立派なキャッシュフロー経営だ。
もっと言えば、営業活動で現預金を生み出していき、その範囲で設備更新投資を賄い、かつ借入金残額を純減させていこうとすることである。 これによって財務余力を生み、与信を高めることで、新規事業への挑戦的投資に必要な資金調達力を確保できる。結果、中長期に会社の持続可能性を高めていくことができる。
業務フロー 人、もの、金、情報、お客さんなどの諸要素の流れから合理的に設計しうるもの。 紙に→でその関連を表現できる仕事、業務のつながりのこと。「流れ」とは大いに似て非なるもの。 それよりもっと渇いた、表面的な、物理的な概念。
経営戦略 会社の“成長”戦略のこと。個々の事業の成長を図るものではなく、“選択と集中”を図り、会社の成長を企図したシナリオのこと。 “成長”とは“強さ”概念と考えた方が良い。会社を“強く”する概念の極端な一例を挙げるなら、赤字事業の廃棄だ。 ただこれだけでは残った事業は強くはなってない。事業の勝ち残りを図るシナリオは“競争”戦略という。経営戦略と競争戦略とはまったく別次元のものである。
中小企業においても、会社成長を既存製品、既存顧客にかけるのか、新規製品、新規顧客にかけるのか、という成長戦略を持たなければいけない。 そして、かけていく事業でどう勝っていくのかという競争戦略もあわせて持たなければいけない。
現地現物 “事実を自ら確認する”ことを推奨、要求するスローガン。“三現主義”とも言われる。 この場合、あと一つは確定的なものがハッキリしない。“現地現物現実”などという人もいる。 私が勤めた会社では“現地現物現認”と言っていた。本質は“現地現物”で言い切れているが、「三」好きな日本人として“二現主義”でなく“三現主義”と言いたかったのだろう。
合理的精神の強い欧米文化で言うFact finding!と同根。問題解決は事実の正しい認識、解釈があってこそ。従って「トヨタのカイゼン文化」を支える最重要の行動規範と言える。
さ行 サラリーマン気質 “オーナー経営者気質”に対比させた時に際立ってくる、サラリーマン特有の思考・行動面での特性のこと。 批判的な言葉としての“サラリーマン根性”とはまったく異質の言葉で批判的な意味は含まない。職業や生き方によってものの見方、考え方の大きな部分は規定される。政治家と役人の気質が異なるのと同じこと。
この気質の違いの理解は大企業より中小企業にとって重要である。 中小企業経営者の多くはオーナーでもある。会社に勤め給与を得て暮らしを立てるサラリーマンと、全財産を賭して会社を営む企業家を同じ人種ととらえることに合理性は少ない。 その点、大企業の経営者の多くはサラリーマンのため、一般従業員の特性理解は容易なのだ。
事業承継計画 中小企業における社長業の継承は一大経営リスクであるという前提から、
  1. 関係者からの理解、納得
  2. 後継者教育
  3. 株式、財産の分配
を重点にすえた事業承継についての準備計画のこと。
普通、1、2は意識されておられ、手を打たれている。だが、どこまでやったからOKという客観的判断が困難だ。 そのため“やってきたのだから大丈夫だ”と自己納得的に考えてしまっている観が強い。反対に3は合理的判断が可能だが、個人財産に関わることであるため手付かずになりやすい。
従来は3へのリスクから語られることが多かったが、会社法施行や税制改正でリスク対策への好環境が整ってきた。これによって相対的に1、2の重要性が増してきている。
主要業務・支援業務 主要業務とは、“商売”に直接かかわる業務。 製造業なら、受注・設計・調達・製造・検査・出荷・納品後対応のこと。 流通業なら、品揃え・仕入・在庫・陳列・販売・販売後対応のこと。 サービス業なら、サービス提供設計・受付・主サービス提供・従サービス提供・サービス提供後対応のこと。
支援業務とは、主要業務に対して従たる業務。総務などの他、品質保証部門、販売促進部門、技術・サービスの研究開発部門なども該当。 これらは企業内公務とも。支援業務にとっての後工程は、主要業務の人たちすべてだ。
重要なことは、主要業務の人は“我は客なり”と驕らず、支援業務の人は“我は社内公務員”と思うこと。「流れ」は劇的に変わるはずだ。
職場先輩からの教育 主に事務職、技術職の職域で展開されてきたトヨタの人づくりを支える象徴的教育システム。世の中一般の“職場の先輩”と、トヨタの職場先輩は明らかに一線を画す。
特定の一人が明示的に任命され、全社的な新人教育課程を通して面倒を見ていく。ちょっとした徒弟制度だ。職場先輩側さえも同時に鍛えていこうという意図が当然にある。 教えることは修得することの仕上げなのだ。
学生時代の友人二人(トヨタマン)も新入社員時代、この職場先輩制度の下、みっちりと鍛えられていた。「A3一枚に」での問題解決ストーリー展開を課題として与えられ、当事は四苦八苦していた。
人事制度 採用・配置・評価・報奨・能力開発の一連のサブシステムからなるシステムのこと。人事制度は人材ビジョン、人事ポリシーといった上位概念に整合的に設計されなければならない。 望ましい人材ビジョン(人材像)と能力主義等の人事ポリシーを明確にした上で、一連のサブシステムを設計し、筋の通った人事をすることが重要だ。 人事に鈍感な社員はいない。“企業は人なり”とは、“企業は人事なり”でもあるのだ。
組織の最適形態 ここではピラミッド型とかフラット型という意味での形態ではない。 「経営戦略」や競争戦略の観点、「流れ」の観点、これら両面から検討して設計し、調整を図って模索すべきものだ。 換言すれば、対外部環境の観点と、対内部適合の観点、両面からの最適形態ということである。
多くの中小企業経営者は最適解を得ようと、割と小まめに組織に手を入れているように観察される。 このこと自体は、マイナスよりプラスの方が大きいと評価したい。ただ、この両面を検討した上でのケースは限りなく少ないと想像する。
た行 中期経営計画 3年~5年スパンで戦略的、野心的に描く経営計画のこと。 中期経営計画=向こう数期分のP/L、ではない。そのP/Lを実現するために必要な諸施策を時間軸の中で計画として明記したものが中期経営計画である。 諸施策とは、技術、製品、ブランド、チャネル、調達、提携、人材、情報、投資、資金など有機的つながりを考慮したものである。
経営戦略」や競争戦略を明確にした上で初めて立案できる。 戦略の前に、夢や魅力的な目標を規定した“ビジョン”が必要。ビジョンを実現するための逆算計画でなければ中期経営計画の実現率は低い。
提言、忠言、苦言 経営陣の中で忌憚無くこうした言葉を互いに言い合えれば、健全な状況と言える。 また経営陣同志に留まらず、幹部や中堅などからもこうした言葉が日常的に投げかけられるようならば、その組織の自己補正機能は高いと言える。「ガバナンス」の一要素とも言える。
もしそうでないなら、そういった機能を社内外問わず誰かが担わなければその組織は危険である。社外にその機能を求められたとしても、社内でそうした文化を育てていく中長期の取組みも必要になる。
トヨタのカイゼン文化・
トヨタ流カイゼン文化
トヨタの企業文化をひと言で言うなら“カイゼン文化”。トヨタが50年以上かけて築き上げ育んできた一大体系。 それを移植することは無理だとしても、そのごく本質的な部分を移植することは難しくないはずだ。そのごく本質的な部分をトヨタ流カイゼン文化と仮に言う。
小さな組織はその小ささゆえ、文化の導入・浸透・定着について、大企業が持つ困難さは少ない。 経営者の決意一つと根気と尽きぬ工夫で必ず実現できる。ただし、ものには順序もある。 「おはよう」「ありがとう」「すみません」、こうした普通のことが定着している組織ならよいのだが、そうでない組織に新たな骨太な文化は決して定着しない。そっちから固めることが先だ。
な行 流れ・流れづくり 流れとは、「顧客にとって価値あるものを、効率良く産み出すための、組織全体のあるべき仕事のつながり」のこと。 経営理念や諸制度、人や組織間の感情なども関わる概念。M・ポーター博士の「バリュチェーン=価値連鎖」とTPSで言う「流れ化」が私の中で結合したもの。
「価値連鎖」は、機能間連携をへて、付加価値のある財が産まれる商品性の概念。 一方「流れ化」はものを滞らせずスムーズに流す生産性の概念。これらが結合して理想の「流れ」ができる。結果、会社は筋肉質で顧客価値の高い魅力的な経営組織となる。
流れづくりとは、
  1. その流れを構想し、
  2. 逐次的に明らかになっていく不具合部分を調整、改善し、
  3. 漸次安定化を図る中期的な取組みのこと。
“なぜ”を5回繰り返す 本当の原因(=真因)を追求するためのスローガン的行動規範。 真因に対して手を打たなければ問題解決にはならない、という前提だ。まさに「トヨタのカイゼン文化」を支える最重要概念。
5回は変数だが、たいてい5回も繰り返すと真因に辿り着けるという経験則とゴロの良さから選ばれたものと想像する。 「三」好きの日本人としては3回と言いたかったろうが、3回では真因到達できないケースが明らかに多いのだろう。「三」に流されない実利主義がトヨタらしい。
もう一つ重要な利点が目的志向だ。“なぜ”は目的を追求できる言葉だ。高い確率で目的を外さない点もトヨタ文化の特長だ。
は行 品質の作りこみ 補足して言うと、「品質は工程で作りこむ」というもの。裏を返せば「品質は最終検査工程で保証すればいい、なんてことではない!」ということ。 「各作業が正確ならば、その作業が積み重なってできる製品の品質は自ずと保証される」という考え方の下、各作業者、各工程は決まりを守って自分の責任を果たそう、という呼掛けでもある。
より実践的に言えば、各工程での正確な作業と、要所要所での検査、その積み重ねによって一歩一歩着実に完成品に近づけていく精神を言っている。 またより現場的に言えば、途中で不良品となって廃棄してしまうロスや、手直しによるロスを減らせることも狙いにしている。「後工程はお客様」とは切っても切れない。
変革 バブル崩壊後、赤字基調となった日産は90年代後半、イチロー選手をCMに起用し「変わらなきゃ」、「変わらなきゃも変わらなきゃ」と内外にメッセージした。 しかし遂に変わることはできず破綻の危機に瀕し、99年、ゴーン氏を迎えて変革に向かい蘇った。 しかし日産の変革を「変革の成功事例」と見るのは危険だ。日産はギリギリの崖っ淵に追い込まれていた。普通、そこからでは変革の前に命尽きてしまう。また成功してもそれだけ大きな痛みを伴う。現に、日産は複数の工場閉鎖という大きな痛みを味わった。
企業の真価は、平時から変革の必要性を問い、それを正しく見極め、必要と判断されたらまだ平時のうちでも変革を断行できるかどうかだ。
ま行 目で見る管理 当たり前だが“目で見る”対象物を想定している。つまり“管理は目で見て行え”ということであり、“目で見えるもので管理せよ”ということだ。 「現地現物」もそうだが、まさに自分の目で見るという価値観が強くある。TPS、「トヨタのカイゼン文化」を支える重要概念。
近年「見える化」が大ブームだ。「見える化」もトヨタ発の言葉だが、安定した概念としてトヨタ内で定着し切る前に世間でブレークしてしまった。 逆輸入的に「見える化」に触れたトヨタ社員も多くいるはずだ。結果トヨタ内で理解の定まらない状況にあることが容易に想像できる。まだまだ「見える化」は不安定な概念である。
モラール診断 会社全体として、従業員のやる気や意欲を調査し診断すること。モラールサーベイとも。
従業員満足(ES)の差が顧客満足(CS)の差につながるという論理から従業員満足が見直されてきている。 背景的には、企業と従業員の結びつきが成長時代のそれと明らかに変質し、ESを得ることは難しい課題になっている。またサービス経済化との符号もある。なぜならサービス業ではCSとESは密接不可分だからだ。
モラール診断は経営者にとって勇気の要るものだが、たいへん価値のある取組みになる。 ただ漫然と調査してはいけない。仮説を立て、それについて検証を試みるものでなければ、単なる不満の声の寄せ集めに終わってしまう。
や行 横展開 一つの成功をそのまま、またはアレンジして、同様のケースや状況に適用し、組織全体でメリットを相乗的に得てしまおうという考え方や動き方。 水平展開とも。会話では「・・・ヨコテンして・・・」と使われる。失敗への対策をも予防的にヨコテンする。
予算運営制度 年度、半期、月次で売上予算、製造原価予算、製造経費予算、販売費予算、管理費予算などを設定し、実績との差異を分析し数値面での経営計画を実現しようとするための制度。
年度、半期、月次の売上目処(=売上予算)はどの会社でも存在する。“入り”の目処づけ(予算化)はされるが、それに規定される“出”の目処づけ作業がほとんど行われていない。 方針管理、年度経営計画管理に部門予算を織り込むことからスタートするとよい。これによって、カネという経営資源に対する意識、感度を高めることが何よりも重要。
ら行 リスクマネジメント 企業経営には様々なリスクがつきまとっている。 天災、事故、感染症、不祥事件、不況、調達困難、など事業継続を困難にし、ひいては経営を危機に陥れる要素は考え出すと切りがない。
これらの一つ一つの可能性について、それが発生した時の経済的損失をエイヤで見積もり、中でも重要なものを特定し、それらについてとりうる対策を計画しPDCAを回していく経営管理の一分野。

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